介護の仕事をする上で、リスクマネジメントは欠かせません。リスクマネジメントとは、事故発生を未然に防ぎ、もし発生した場合でも、迅速に対応することで損害を最小限に抑えることをいいます。
実際、介護現場には多様なリスクが潜んでおり、何が起きるか予想ができないため注意が必要です。利用者が生活を営む中で起こり得るトラブルを考える時、利用者を介助する介護スタッフも環境の一部であるということを心得て仕事にのぞむことが大切になってきます。
介護スタッフの関わり方や環境設定により、利用者の生活は大きく変化します。仕事を進める中で課題がみえてきても、適切な判断をせずに、プランも見ないままのケアをしたとすれば当然、利用者の生活は悪化し、トラブルにつながる可能性は高いです。
たとえば、ある介護スタッフは、広い視点で利用者の生活全般を把握して、学んできた知識と根拠のある技術を提供しており、もう一方の介護スタッフは、利用者に気に入られようと、利用者の言われたことをそのまま実施しているケースがあります。
前者は、ヒヤリハットなどの分析をし、利用者の予後予測を意識しながら、利用者ができることを見極めた支援をしているため、利用者の持つ力が失われにくいケア方法だといえます。しかし、後者は、なんでもやってしまうことで、利用者が持つ能力が失われ、生活機能の低下を招く恐れがあります。
そういった事態を防ぐためには、担当する人で環境の差が生じないよう、支援の方向性をチームで共有し、ケアの見直し会合や勉強会などを実施することが重要になります。